占いの店の鑑定料金は、30分で一般が5千円、高校生は4,000円なのだが、女子高校生が5千円券を買って、私のところに来られた。
店のルールで、私は学割が効かないので、私のお客さんに中高校生は滅多に来ないので、高校生は珍しいお客様だった。
学割が効かずに余分に払ってもらって申し訳なかった。
「5千円も使って勿体無いわっ!」と、私がいうと
女子高校生は、後ろめたそうな表情をして、こう言った。
「私・家出してるんです。援助交際とかで、 お金・あるんです」
「うわぁ~~、そうなんだっ!じゃあ、友達の家に泊めてもらっているの?」
「今年の1月から家を出ているんです・・外で知り合った男の人が泊まりに来ていいと云ってくれるので、2泊ずつ泊まってます。わたしの将来を見て欲しいのです。それと、男の人と沢山知り合っているのに、
ちゃんとした恋愛になれないのは、なぜなのかも知りたいのです。あと親が自分に対してどうなってくるかも知りたいんです。私の親が暴力を振るうので怖くて家に居られなかったんです。高校は通信の高校で、親が学校に私の事を聞きに来たんですけど、先生も暴力を振るう親だと知っているので、私の事をどこにいるのかは知らないと言ってもらいました。」
「ああ~、暴力を振るう親だったら、家に居られないわね。早く就職して自力で生きていけるように頑張らなくちゃね」
そんな事を云いながら、占って行った。
遊びで声をかけてくる相手の下心を知らない若い女の子達は多く、肉体だけを目的の男性に簡単に体を許して、誠実な交際が続くと信じる女性はとても多い。
この女子高校生も、下心をもった男性の心理を知らないし 、30歳を過ぎた女性でも、男性の心理を知らない人は意外とお客様に多い事が、占いに来る多くのお客様から分かった。
男性本人は遊び人でも、誰にでも簡単に体を許す相手に、憧れる気持ちになれないもので、
簡単に肉体関係を持った相手に対して、惚れるとか愛する気持ちになれない。
こんな事を書くと、時代錯誤の人間だと思う人も居るだろうが
恋心と言うものは、憧れる相手に湧くものだ。
簡単に近づけない相手だから、声をかけてもらえたとか、微笑んでもらったという、ささやかな出来事が、どんどんと相手を想っていくようなところが、恋心にはある。
どんな人かも良くわからないうちに、肉体関係を持ってしまったら、憧れるという、二人を隔てる遠い距離がなくなってしまうのだから、憧れる事もなくなり、本当のわくわくするような喜びや、切なくなるような恋特有の悲しみも味わうこともない。
占いに恋愛相談をする人は、真剣に愛される事を望む人ばかりだが、彼女のようなやり方で、何百人と 肉体関係を持った所で、本当の純粋な愛を持ってくれる誠実な相手が
出ることは、宝くじに当たるよりも難しい筈である。
わたしが、こう言うと、大概の人たちは、まばたきをして驚き「そうなんです か?!」と叫ぶが、あまり納得して貰えない。
「そうなのよ、男の感情ってそういうものですよ。」
女性は、熱く抱きしめてくれる人を、自分を好きで愛してくれていると信じ、愛してしまうような本能があるのかもしれない。
もちろん、性欲だけの女性も多い。
私は、性欲は愛情から湧き出るものだとは思えない。
テレビでは、ほとんどの人達が、自分の肉体関係の華やかさを普通の事のように堂々と語っている。
恋人である相手の心理を確かめる為に、番組で用意した魅力ある人物に声をかけさせて、ナンパしてくる異性に対してどういう行動を取るか観察するという番組があったが、多くの女性がナンパしてきた男性の家について来た。
それを見ながら、ヤキモキ苦しむ恋人の顔も映し出されていた。
現代のように、性に対する受け止め方がおおらかに自由になったのならば、尻軽女であろうと気にしなくて良いはずだが、今どきの若者が性に関しておおらかのようで居て、本音は、貞操を相手に求めていることになる。
こういった、テレビ番組が増えたお陰で、恋愛とはテレビに放映されるように、簡単に肉体関係を結ぶものだと 思わせるようになっているように感ずる。
長続きせず、一夜限りの恋愛ばかりだというお客様が、原宿の占いの店に は良く来るのだが 、彼らの恋愛の運勢は、遊び人の態度をとっている自分自身が、相手から軽く扱われ
て、ほんとの恋人として 見てもらえないと、占いの答えに出る。
こんな話を、もっと分かり易く砕いて、この女子高校生に話した。
「そしたら、わたしの事だけを思ってくれる純粋な人はいつ出てくるんですか?」と質問された。
「だからね、今のように見知らぬ男性に声を掛けられて泊まらせてもらっている限り
あなたを心から愛する男性には出会えないのよ。毅然とした気持ちを持った人で、自分の恋人に対して誠実な人は、その人自身も誠実だから、誠実な生き方をしている人を望むのよ。
二日づつ見知らぬ男性の家に泊めてもらっていると云ったら、あなたの生き方を
真面目で信頼できる純粋な子だって思ってもらえないのよ。色んな男とやっているんだから、簡単にやれると思われるだけで、そのつもりで付き合ってくるのよ。そう思われてもあなたは構わないの?」
彼女は黙って首を横に振った。
事細かく言わないとなかなか理解してもらえない子だったので、こうしてああしてと話したが、彼女が男性の本音に気付いて行けるのは、かなり傷を負い、分別がつき始める年を取った頃かもしれないと思った。
彼女に暴力をふるうという、親の事を占うと、悪い親ではないという易の答えだった。
言う事を聞かずいい加減な生き方をする娘に、頭を抱えて苦しむあまり、怒鳴りつけ殴った事もある親だと出ていたが、自分の子供が幸せになって欲しいと言う気持ちが強く、反省しましたといって家に帰ってきて欲しいし、もう勉強しなくても良いし、美容整形をしても良いし、ボーイフレンドも出来ても良い、
ある程度は目をつぶるが、普通に生きて欲しいという卦が親心として、易に出ていた。
「あなたの親は、しょっちゅう子供に暴力を振るうような親ではないですよ。あなたは、かなり酷い子供で親の言う事を聞かなくて、勝手な事をやりすぎたのよ。
親はとてもあなたを心配して、帰ってきて欲しいと望んでいます、親の言う事を聞いて真面目に生きて欲しいと、親は思っているんですよ。あなたが、謝れば喜んで受け止める親ですよ」
涙をにじます女子高校生の子供らしい瞳が、優しくやわらげに潤んでいた。
この女子高生は、彼女の母親の年代と同じ位の私を選んだのだった。
彼女は、私に母としての言葉を求めて来たのかもしれない。
占いを始める前に、私が彼女のお小遣いが無くなる事を勿体無いと言った時に、彼女の瞳が愛情に満ちた優しさで、嬉しそうだった事も、人の愛情を求めているのだと思えた。
彼女が私を見つめる瞳は、子犬が甘えるようなあどけない幼さがあった。
可愛い子犬を拾いたくなるように、彼女を自分の家に引き寄せる事を想像しながら、切ない別れとなった。
余談
昨日は、お姉さん想いの男の子が、お姉さんと一緒に来店されたが、私が今まで見た事がないほど、可憐な可愛い男の子だった。
男の子と云っても25歳位なのだから、男の子などと書かずに、男性と書くべきなのだろうが、イメージ的に男性という言葉が、どうしても彼のイメージにはならないので、ここでは男の子と書かせていただきたい。
話し方が女の子よりも女らしく、顔つきも華奢で、家族思いの優しい子で、なんていい子なんだろうと思った。
どんな女の子でも、あの子よりも女らしい子もいないと断言したい。
私はあまり男の子を可愛いと思った事はないのだが、あんなに可愛い男の子が家にいたら、とっても心が温まるだろうと思った。
この男の子は、お姉さんの問題を、真剣に悩み、私の言う言葉を綺麗なメモ帳に、丁寧な字できちんとメモしていた。
30分の鑑定が終わると、男の子が「延長して自分の事も占ってもらって良いですか?」と愛くるしい態度でたずねるのだが、彼の質問は、お姉さんの為の質問だった。
お姉さんの事が心配で、一生懸命お仏壇に向かってお祈りもしていると云って、涙をぬぐっていた。
「こんなに、姉思いの弟さんが居てくれて、お姉さんは幸せですね」と、私がと言うと
お姉さんは、淡々と「お金は私が払いますから!」と、そっけなさが対照的で、姉弟の味わいを感じた。
男の子は、「ううん。僕が払う!だって僕が、お姉ちゃんの事を聞きたいんだもの!」と云い、可愛いお財布をだすしぐさも、無邪気な子供のようだった。
男の子の、家族に寄せる深い愛情と、暖かな真剣な話し方を見させていただいた事によって、私は、自分自身の態度や話し方を省みる事になり、こんな自分って、駄目だなって思った。
「やっぱり あたたか~~~い気持ちって、イイナ~」って思いながら、これからの自分の態度を反省して考え直そう、と瞬間だが思った。
でも・・・・やっぱり、私はこのままで行く。
理由は・・・・・、お察しください。
帰り際に、馴染みのお客様で、比較宗教学の学者さんが来てくださった。
私の易日記の感想を求めると、「日記の石井さんはとても、心が繊細で悩みの深い人で傷つきやすい人に思えるけれど、実際の石井さんは、元気でエネルギッシュだ」とおっしゃり、もう一人のかたからは、「文章は、見た目の石井さんよりも、厳しい感じがする、自分にも厳しくて人にも厳しくて、ものの捉え方が必ず裏も観ているのが特徴だ」とコメント頂いた。
ほとんどの人達から、日記の私と見た目の私は、同じではないと云われる。
時々、メールを下さる方がいらっしゃるが、私にメールを下さる方はこんな人が世の中には、いるんだとホッとするような、純粋な人ばかりで、私の人格を過大評価して誉めて下さる。あまりに誉めていただくと、私は文章を使って皆さんを欺いて、良さそうな自分を演出しているのかもしれないと思い、自分のあり方を、どうあるべきかと悩んでいる。
16歳の娘が、私が易日記を更新する時に、危険な話題を載せないように前もって彼女が読んで判断すると言う。
愚かな母親を一人歩きさせる事を危惧するほど、子供は、私を危なく思っている。
わたしのHPにオカルトシリーズを追加したい事を話すと、「絶対にヤバイ人だと思われるからやめるように!」と強烈に反対された。
昨夜、来てくださったお客様方にも、この手の話題を出す事についてのコメントを求めると、「出さない方が無難です」と娘と同じ意見だった。
こんなわけで、今後も当たり障りのない話題を維持するように努力しなければなりません。