30歳の独身女性を占った。
仕事の運勢と恋愛運の二つを占ったのだが、中心に出た答えが両方とも「山地剥」という同じ卦が出た。
人にはいろんな性格があるが、この『山地剥』の人は、人に厳しく、心が屈折しているので、話して理解してもらう事が難しい。
自分自身を自覚する事が出来ると、対人関係も良くなる可能性があるのだが、優越感が強いタイプに、性格のマイナス部分を指摘したり、対人関係で自分を主張しすぎると恋愛相手としても好まれないと答えたって、納得してもらえない。
そうなれば、あえて本当の事は言わずに、当人の人格を認めて誉めてあげれば当たっていると思われ、喜んでもらえる。
自分に甘い人は、自己を客観視する事が苦手でなので、占いで本人の性格の弱点を云っても、当たっている事にならないのである。
お客様が外れていると思うならば、当てないほうが商売ならば望ましい。
商売上だけでなく、良くない事を言うのは、私にとっても嫌われるだけ損である。
耳障りの良い言葉だけを求めるならば、お客様として来て頂きたくないのだが、現在のようにお店に雇われている状況では、なかなかそうは云えない。
客観性の無い人とか、自意識が強くて誉めてもらいたいと思うお客様は、向こうにとっても私などとかかわらない方が、精神衛生上も良い。
お客様が占いのメッセージによって、今まで気付かないで来た自分自身に気付いてもらいたいと思うのだが、当人が自分の性格の弱点を自覚していない場合、どう言うべきかと毎度のことながら、こういう答えは苦手である。
30歳の知的な美貌の女性の恋愛運を答える事になった。
天文 天地否(否定) 之卦 水地比(親しみ) 本卦 山地剥(不遜)
主爻 明夷 (暗闇) 主爻 同人 (仲間)
人文 離為火 (智恵)
地文 離為火 (智恵)
離為火(りいか)という智恵のある卦が二度続いて繰り返されているので、賢さを強調した女性だとわかる。賢い事は良いことだが、賢い女性に見えすぎると、人は温みを感じない。
恋愛相手にも、賢さをはっきりと見せている、そのために相手の気持ちに
緊張感を与えていて、恋愛の楽しさとか甘さが無いのが、恋愛対象としてみてもらえないとなっているのだ。
優越感に浸った態度は、傍から見て好感を感じにくい。自分の態度を冷静に判断できれば、魅力的な人になり、恋愛も成就すると出ているのだが・・・・
私 「う~~~ん・・・・・あなたの恋愛は長く続きませんね?」
お客様 「はいそうです、どうしてですか?」
私 『あなたは、頭の良い人だと誰からも思われているのです。あなたの人に与える印象は、怖さなのです。賢さが見えすぎると、人に緊張感を与えるんですよ。
恋愛相手にも、あなたの賢さがでてしまっているのです。
恋愛は、安心感を与える人が好かれるのです。そういった安心感や柔らかさや甘さが、あなたには足りない為に恋愛対象としてみてもらえないとなっているのですよ。
理屈がたつ人や、賢さがはっきりと見える女性って、男性から見て、安心して親しむ事が出来づらいのです。
他人がハラハラとあなたに気を使ってくれでしょう?
あなたは人の意見を厳しく捉えるので、相手が緊張してしまうのですが、それが判りますか?」
お客様 「それはわかる。他人は自分に対していつも緊張して居ますよ。
でもそれは上司も皆バカばっかりだから仕方がないのです。でも、好きな人に対しては尽くすことも出来るし、偉そうな態度もとらないです。」
私 「好きな人に対してだけ感じ良くして、他の人には感じ悪くしている人を、あなたなら、そんな人のことでも、心から良い人だとおもって信頼し愛する気持ちになれるのですか?
好きな人にしか良い態度をとれない人は、どう考えても根性は小さいですよね。そういう人のご機嫌を損ねたら、いつまでも良い態度で接してもらえると言う保障はないと感じさせませんか?人に緊張感を与える自分であり、理想も高く、それで自分を心から愛してくれる人が出ると思えるなんて、あなたはかなり他人の人間性を寛大で優しいと思えるのね?
だから、ニヒルな気持ちの自分のままでいても、良い恋愛相手が出てくると期待できるのかもしれないですね?」
お客様 「恋愛は自分のままでいて好かれるからこそ、楽しいのであって、相手に好かれる為に自分を偽るなんて、そんな恋愛ならば楽しくないですから、そこまでして人に好かれたいとは思いません。結局、私の恋愛運は駄目だって事をいいたいのですねっ!」
私 「運勢を決め付ける事は努力する価値を否定していると思いますので、あなたの恋愛運が絶対に駄目だとまでは言いません。」
お客様 「・・・・・・・・・・」
私 「ただ、このままあるがままのあなたのやり方でやっていけば、あなたは、愛されにくい態度をとっているので、恋愛は今までと同じように長く続かないと云えるのです。
良い運にする事も駄目な運にする事も、自分の心の向かわせ方なんですよ。
確かに、あるがままの自分が受け入れられるのは気持ちいいですね。
本来の自分を殺して愛されても虚しいのは、其の通りですから、あなたのおっしゃる気持はわかります。
でも、あなたは好きな人に対しても、自分と違った意見だと、絶対に共感できない所が強いので、それが、きつく人を威圧しているように思われるんです。
威圧する人を、好きになる人って滅多にいませんよ。
自分よりもすこし幼稚だと思える女性の方が、男性も安心できるのでしょうね。
男らしい人の心を得るには、少し単純で愛嬌のある感覚の方が恋愛がうまく続くのが本当なんですけどね。」
お客様 「は~~~っ!(ため息) 自分と違う意見に対して共感できないなんて当たり前の事です。違うと思っても共感するなんて嘘つきですよ。それに、自分を作って男に媚を売っているような女って大嫌いです。そういうバカな女が好きな男も嫌いです!そんな人から好かれる為に努力するくらいならば、一人で生きる方がはるかに幸せです!」
私 「なるほどね、私も自分と違った感覚の人には共感できないですから、あなたのおっしゃる気持ちは理解できます。でも、人に共感できるかどうかは、自分自身の物の捕らえ方に柔軟性がどの程度あるかで決まる事もあるだろうって思うんですよ。
強い自信を持っている人は他人の考えには共感できないですよね。話をしていて自分に共感してくれない人だと思われれば、少なくとも親しみを感じてもらえないものですよね。
自分に共感してくれる人って、世の中めったにいないものなんですよ。
ですから自分に対して共感してくれる人って、癒される人となって好かれるんです。自信がありすぎで、自分の主張を前面に出していく知的な意見を言う人を、異性に限らず、誰もが自然と緊張を覚えてしまうもので関わりを深めたいという恋心が湧きづらいのが、人の自然な気持ちなんですよ。
つまり、あなたのような一匹狼的な信念を持っている人を好む人は少ないわけです。
しかもあなたは理想が高いのですから、受容される確率が難しいのは当然ですよね。
人は年齢によって考え方も変わりますから、若いときは理想を持っていても年を取って経験が増えれば、生き方に妥協できるようにもなっていくものですから、妥協できる頃があなたの恋愛の成就とも言えますよね」
お客様 「私は今でも若いとは思っていませんし、好きになる事に妥協ということはありえません。妥協できる頃が恋愛が成就する時だなんて、誰だって言える常識的な答えです!そんなのは占いではないです!」
私 「さすがに理屈の立つ女性だけあって、そこまではっきりと御自分の意見を云えるのは見事ですね。
でもね、占いだって常識に沿った答えをするものですよ。あなたは頭が良い人ですから、常識を逸脱した答えが占いだと思っているような、そんな単純な思考をする人ではないはずです。
あなたが討論をしたら、相手を負かせてしまう力があると思います。
人の心を自分に向ける話術の出来る人が恋愛上手なんですが、討論のように相手を打ち負かせる意見をいえる人は討論には勝てますが、勝てば、相手はこちらを嫌う事はあっても、好きにはなってくれませんよね。
つまり、恋愛を物にするには、討論に負けるべきなんですよ。
勝ちは相手にゆずって、相手を尊敬していく姿勢が、人から愛されるコツなんです。
30歳ならばまだ今の時代は若いといえます。まだまだこれからですから、話術を生かしてもっと魅力的な自分を出していったら、運勢ももっとよくなる人ですよ」
お客様 「何で年齢の事を言うのですか? 私は自分の年を考えて恋愛をしていませんし、年齢を考えて恋愛するなんて、本当の恋愛とはいえないと思っています!」
私 「そうですか・・。あなたの話し方は理屈ぽさがどうしても出てしまうのね。
あなたの望む頭の良い男性が、女性に求めるものが、研ぎ澄まされた知性とか賢さではない事を知った上で、あなたの持ち味を冷静に見つめていく事さえ出来れば、あなたの運勢も恋愛もうまくいくんですけどね。」
お客様 「私は年齢の事を気にしていません。何で年齢の事を言ったのか、ちゃんと答えてませんよ! ちゃんと答えてくださいっ!」
私 「ああ・・、そうでしたっけ?年齢の事に触れたのは、一般論として、30過ぎれば大方の女性は若くないと思っていく人が多いので、もしあなたも一般の人と同じ気持ちがあったら、30歳は充分に若いと知った上で恋愛に向かう方が、気持ち的にも望ましいと思っただけの事で、親切で言ったつもりだったのですが、意地悪に聞こえたんですか?」
お客様 「私はバカが大嫌いなんです。バカ相手に喋っているだけで、吐き気がします。何で自分までバカになって世間と同じにならないといけないのか理解できません!」
私 「でも、世間はバカの集まりだって、さっきおっしゃいましたでしょ?まともな考えをしている人に一度でも会った事はありましたか?」
お客様 「いいえ、世間には、まともな人なんて居ないじゃないですか!」
私
「バカな世間の中では、あなたの賢さが目立ってしまうのでしょうね。
人は自分と違う人間を悪く見る傾向がありますよね?当然あなたならば、それはご存知ですよね?
世間の人は全員愚かで、あなた一人が賢さを見せすぎていたら、あなたは世間から悪く見られる可能性が濃くなりますよね?
あなたは、裏表のない正直な人ですから、良い子ぶっている人たちよりも信用できる良い性質をもっているのです。でも自分に正直に生きる人は、生き方が不器用に成ってしまって、損した運勢になりがちです。
相手が、よほど善人でない限り正直に自分を出して生きるのは、トランプの時に自分のもち札を公開するようなものですよ。トランプだって負けるのはつまらないですが、人生に負けたらもっと悔しいじゃないですか。しかもバカに負けるなんて気分良くないじゃないですか??」
お客様 「バカに負けるわけないですし、バカから好かれても得した生き方だとは思えません!」
私 『う~~~ん。だって世間はあなたから見れば、全員馬鹿なんですよね? 世間全体が馬鹿であっても、世間に好かれる方が得ですよね。またバカからでも嫌われると気分は良くないですよね?人って、自分は人を嫌いでも、人からは嫌われたくないものなんですよ。あなたは世間の馬鹿全員から嫌われても平気な強さがあるのですか?』
お客様 『バカに嫌われたって痛くも痒くもないです。そんな人には近寄ってもらいたくもないです!』
私 「世間を敵に回して一匹狼で生きる強さを持っているのは、あなたはよほど凄い人だとおもいます、お仕事が出来るあなたですから、恋も仕事も両方100点満点では、恵まれすぎになるので、之くらいでちょうど良いのかもしれませんね」
お客様は不快感を満面にしたまま無言で席をたって帰られた。
後味の悪い鑑定となり、私も気持が重かった。
仕事運を占ったときは、お客様の上司がバカだという事を言った為に、納得していただいたのだが、恋愛運ではこんな感じで怒りを買いっぱなしだった。
隣の部屋の占い師の話し声が聞こえてきた。
お客様のよさをトテモ強調されていた。
「あなたはね、とても仕事の出来る人です!あなたの才能には、どんな男性も見劣りしてしまって、あなたは、結婚よりも仕事で生きる人なんです!結婚なんてむいていません!!それよりも仕事で生きるのが幸せになりますよ!!!」
お客様は、明るい声で、「なるほどねえ~~」とうなった。
あ~~・・・。こんな風に言えるといいのか!!!
いろんな人を占い、そのつどあらゆる緊張感を経て、占いに対してのあり方や話し方を、いつも考えてきたつもりだったが、未熟な自分に頭を抱える。
気持ちの良い言葉を言う占い師になるべきか、恨まれようが、口論しようが
あくまで易に出たままを云う占い師で通すべきか・・・・。
どちらがいいのでしょう?
余談
色んな相談があるもので、このお客様の後にいらっしゃった方は
彼の誕生日プレゼントは何が喜ぶか観てくださいという、シンプルな相談だった。
2ヶ月に一度の割合でいらっしゃるお客様だが、他に知りたい事もないと、おっしゃり
時間が余ってしまった。
ヘビースモーカーの彼の事が大好きなのだが、彼の性格は占ってもらいたくないと言う。
二人の未来も知りたくない、悪く出るとショックだからだ。
でも、浮気もするし嘘もつく彼だと占いにはでている。
馴染みの彼女が将来泣く事があって欲しくないのだが、彼女が本当の事を知りたくないというので、私も云わないでいる。
どんなに良い人でも、その相手を好きになれないならば、悪い奴であっても惚れる事ができるほうが、幸せだろう。
余った時間で、彼女が次に出した質問は、ヘビースモーカーの彼の肺の状態だった。
今日は町の自治会でボーリング大会があった。
私が役員をやっているため、朝からてんてこまいの忙しさだった。
町でボーリング大会をするなんて、やりすぎだと思っていた私だったが、無理やりでも
一緒に遊ぶ事で、近所の知らない人達と親近感が繋がった。
私の娘がボーリングの玉の穴に指が入ったまま抜けなくなり、救急車を呼ぶべきかというほど大騒ぎになったが、オイルをかけて何とか救出できた。